医院ブログ

2018.03.18更新

 一番下:インフルA+B+ようやく、寒々しい季節がひと段落し、各地の桜の便りも聞こえ始め、めっきり春めいてきた今日この頃。皆さんも、春の到来を実感されていることと思います。振り返ると、この冬は昨年末から2月中旬にかけて幾度となく、猛烈な寒波が列島を直撃し、地域によっては大雪などで甚大な被害を与えたことは記憶に新しいところです。また、シーズン当初からの連続した寒波の到来は異常低温を引き起こし、これがインフルエンザの大流行を招いたともいわれています。加えて、毎年秋から始まるインフルエンザワクチンは、初めての4価ワクチン(A型×2種類、B型×2種類)となり、メーカーがワクチンの製造、出荷に時間を要したため、当初深刻な供給不足に陥り、実際に接種を希望される方になかなか行き渡らず、そのまま受けられなかった方も少なかったのではないかと多います。更に、早いインフル流行の到来が、ワクチン接種者でも、抵抗力が備わる前に感染・発症の憂き目にあった、ということも想像されます。
 また、通常の流行のパターンに反して、A型とB型がほぼ同時に広がっていったことも例年にはない現象でした。当院受診の方の中にも、A(又はB)型に感染した方が、1-2週間後にB(又はA)型に感染されたというパターンが何度か見られましたし、A型とB型の同時感染という方もおられ、流石に驚きました(重複感染だからといって重症化しやすいということではないようです)。

☆写真はインフルエンザ検査簡易キットで左から、B型、A型、一番右は驚きのA型+B型です。

3月に入り、インフルエンザの方も少なくなっていますが、完全収束には至ってはいない状況ですので、当然のことですが外出時に際してはマスクの使用、帰宅後のうがいと手洗いによる感染予防をお続けください。
 この冬、インフルエンザ以外で目についた感染症は、ウィルス性胃腸炎でしょうか。インフルエンザは基本的には上気道炎を起こしますので、普通の風邪と同様にのどの痛み、咳、鼻水・鼻づまりを来たしますが、胃腸炎では割と急激に吐き気(嘔吐)又は頻回の下痢がみられます。嘔気(嘔吐)、下痢のいずれか一方のみの場合もあれば、両方とも症状のそろっている場合もあります。若年者では結構な高熱を伴うことがあり、そのためにインフルエンザと思って来院されることもあります。以前は、インフルエンザ同様、冬季に流行しておりましたが、最近では大方一年を通して地味に流行が続きますので、今後とも注意が必要です。こちらも、インフルエンザ以上にこまめな手洗いの励行が必要です。
 最後に、インフルエンザにきわめて症状が似ていて、疑わないと診断に至りにくい感染症があります。当院でも今シーズンもここまで数名おられましたが、皆さんも名前くらいはご存知の方が多いと思います。『マイコプラズマ肺炎』は高熱と咳(時に痰も絡みます)が見られ、発症時にはのどやの鼻の軽い症状を伴うこともあり、風邪やインフルと区別が困難な場合が多いのですが、普段は元気な幼児から壮年層までの比較的若い世代に多いのが特徴です。疑った場合は、胸部レントゲンを撮影することによって診断へ導きやすく、抗菌剤の内服で治すことができます。マイコプラズマ肺炎は‘オリンピック病’と呼ばれ、夏季オリンピック開催年の流行が有名でしたが、近年ではその規則性は見られずほぼ毎年のように小規模な流行が出ております。
 いずれの感染症においても、まずは罹らない様に予防すること。春先は1日の中でも温度差が大きく、その為自律神経が変調を来しやすくなんとなく不調を感じやすいものです。
天気予報をこまめにチェックし、脱ぎ着しやすい衣服の選択や空調の設定をなおざりにしないこと、それでも疲れや体のだるさを感じた時は既に免疫力が低下していることが多いので、夜更かしせずいつもより早めにお布団に入ること、ぬるめ(41℃程度)のお風呂にいつもより長めに浸かって、体の深部の温度を十分に上げて血行を良くすること、アルコールは程々にして胃腸にあまり負担をかけない消化の良いものを腹八分目位に摂ること等々が感染症の予防や悪化を防ぐために重要ですね。それでも、体調不良を自覚したときは早めに医療機関への受診で、こじらせず長引かせないことも大事ですね。

 

投稿者: 内科・消化器内科 杉本クリニック